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SHOW CASE
花より男子の二次小説置き場です。
マイガール_8
優紀の病室を出て、さっき禅と歩いた廊下をひとり戻る。
エレベーターの前に立ち、下階に降りる機を待つ。
ちょうど下に降りたばかりだったようで、すぐには上がって来ない。
イライラが募る。
気持ちを落ち着かせようと階段でも使おうかと思った矢先。
パタパタと廊下から、らしくない足音と声が聞こえた。

「パパ」
「・・・・・・・・・・」
「パパ!!」

二度”パパ”と聞こえて、仕方なく振り返る。
禅が俺の足元に纏わりついた。
しゃがんで禅の目線にあわせた。

「どうした」
「あのね・・・」
「焦らなくていいから・・・どうした?」
「ママがね、泣いてる」
「優紀が?」
「うん・・・ママ、ごめんなさいって泣いてる」

ったく。
頑固だな・・・
昔とちっとも変わってねー。
他人のことには機転や融通が利くのに、自分のことになると頑固だ。

「はぁ・・・ったく、仕方ねーな」
「パパ」
「ママんとこ行くか・・・」

ため息を吐いて。
禅を抱き上げて優紀の元へ戻った。
病室前。
さっきと違い、ノックしてみたけれど反応がない。
そっとドアをスライドさせる。

「優紀」
「・・・・・・・」

名前を呼んでゆっくりと優紀の傍に歩み寄る。
ヒックヒックとまだ泣き止まない。
優紀の大きな目から涙が溢れ出てた。

「泣きたいのは俺の方だっつーの」
「総・・・西、門さん」
「他人行儀な言い方止めろって・・・昔みたく総二郎でいいよ」
「でも・・・」
「ったく、倒れるまでひとりで無理しやがって」
「だって・・・」
「だってじゃねーよ。ほら、涙拭けって」

サイドテーブルに置いてあったティッシュを優紀に渡す。
優紀は差し出されたティッシュで涙を拭う。
伸びた手首を見た時、肌白い上に以前にも増して細くなってた。

「昔より痩せただろ・・・」
「そんなことないよ。むしろ太ったくらい?」
「俺を騙せると思ってる?」
「・・・・・・・・・」
「それから、何で泣いてた?」
「それは・・・」
「それは?禅だって優紀の泣き顔見て泣きそうだった。自分の子供に心配掛けてんじゃねーよ」
「ごめんなさい」
「俺に謝るより、禅に謝れよ」

禅といっしょだな。
下を向いて何も言わないところ。
禅のこういうところは優紀似か・・・。

「で、最初の質問。何で泣いてた?」
「怒らせて、もう絶対に会えないと思って・・・」
「何で怒ったかはわかってるよな?」
「うん。関係ないって、関わらないで・・・って言ったこと」
「正解」
「本当にごめんなさい」

ベッドの上からだけど・・・
俺は立ち上がって優紀の額を俺の胸に当てた。
そして背中をそっとさする。

「ひとりでずっと頑張ってたんだろ?」
「ひとりじゃない・・・禅といっしょ」
「もう頑張らなくていいから」
「・・・・・・」
「俺がいる、な?」
「でも・・・禅もいっしょだよ?」
「禅は俺の子だろ?っか、こんだけ似てたらごまかしようがねーよな(苦笑)」
「・・・・・・・・」
「ありがとな、優紀」

俺の胸でひとしきり泣いた後。
ようやく優紀が今日初めて笑ってくれた。
昔みたく屈託のない笑顔で。

「禅はウチで面倒みるから安心しろ。アイツには渡さない」
「アイツって?」
「確か、山田とかって言ったっけ・・・禅と同じくらいの子供がいた」
「山田さんね・・・ウチとよく似た境遇だっただから、今回禅の面倒を買って出てくれたの」
「ふぅん・・・」

あっちの状況は知らねーけど。
子供が居たから自然と話が合ったんだろう。
向こうは下心ありそうだけどな・・・
厄介な芽はさっさと摘むに限る。
どうせアイツになびくことなんて1ミリもねーんだから。

「ねぇ、本当にいいの・・・?ご迷惑じゃないの?」
「迷惑だなんて何ひとつない。むしろ周りも喜んでる。な、禅」
「おじいちゃんとおばあちゃんがいるんだよ、ママ!!」
「おじいちゃん、おばあちゃんって・・・」
「親父とお袋だよ。スゲーの、朝からコイツの着替えごっこ」
「楽しかったよ」
「親父もお袋もちゃんとわかってるから。優紀はちゃんと体を治せ、まずはそれからだ」
「うん」

昼時ギリギリまで優紀の病室に居た。
昨日の禅の様子だったり、禅が食べたものだったり・・・色々。
禅も交えて色んな話をした。
優紀が屈託のない笑顔で笑う。
そうやってずっと笑っていてほしいと思う。
帰り際、禅には聞かれないように小声で優紀の耳元で呟いた。

「昔みたいな俺好みの体に早く戻れよ?」

ポッと頬が紅く染まる。
白い肌がふわっと赤くなった。





=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
やっと優紀ちゃんが笑ってくれた回が書けた。
長かった・・・
総ちゃん奮闘記も書いてみたいななんて思ったり
しているのでもう少しお付き合いください。
miru
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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2015/10/18(日) 18:03:22 | | [編集]
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